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5
 
客がいなくなると、BGMの小さな音だけがやけに耳についた。
キャッシャーから一旦厨房に入ってカウンターに戻った和幸は、
オーディオの前でかがみBGMのスイッチを切ろうとしていた。
「流したままでいいよ、音楽」
川口は、和幸の背中に言った。
静寂が嫌だった。客がすべていなくなると、店の中はやけに広く感じた。
和幸もその静寂をうち消すように、さっきまでのボリュームより大きくした。
ちょうど、ディオンヌ・ワーウィックのバラードに変わったばかりで、
そのかすれた気だるい感じのボーカルは、
店の雰囲気と相まって外国映画の一シーンのように感じた。
和幸が、厨房の奥の従業員専用のトイレに立った隙に、チーフの相馬を手招きした。
洗い物をしていた相馬は、サロンで手を拭きながら、川口の前に来た。
「あと少ししたら幸子が来るんだ。和幸のカミサンの」
「そうなんですか?」
相馬は驚いたような顔をした。
「どうしたんだ?」
「いえ、マスターは幸子さんが来ても店には入れるなと言っていたもので。」
「うん、あいつはもう会うつもりはないらしい。
でも、チーフも知ってるんでしょ?あいつのこと」
「ええ」
相馬は川口の目を見て、答えた。
「今日が最後だと思う。だから隠れてもいいからあいつを見せたいんだ。
というよりあいつの本音を幸子にも聞かせたい。
だから、入り口横のバンド用のドアから入れてやってほしいんだ。で控え室に隠してほしい」
ちょっと躊躇していたが、川口の懇願するような目を見て相馬は承諾した。
「わかりました。絶対に出ないように話しておきます」
「ただ、あいつと俺の話は聞こえるような場所にしてほしいんだ」
「わかりました。でも…」
相馬がそういいかけた時、和幸が戻ってきた。
「そういうわけだからチーフ、最後の晩餐って感じでうまいものを2〜3点頼むよ」
「金、取るよ、兄貴」
「そんなこと言えた義理か」
和幸は笑ってカウンターに戻ると、キャビネットからワイルドターキーのボトルを出し、
氷と炭酸のボトル2本をカウンターの上に置き、ホールに出てきた。
「カウンターじゃ疲れるでしょ。テーブルの方で話そうよ。ボトル持ってきてよ」
和幸がグラスと氷、川口はターキーのボトルを持ってテーブル席に移った。
新品のボトルの封を切り、タンブラーに氷を手づかみで入れ、ゆっくり注ぎ、炭酸を注いだ。
同じものを自分も作り、カンパイをするように顔の前にグラスを持ってきた。
「カンパイって感じじゃないよな」
「そうだね」
店に来てから結構飲んだような記憶があるが、ほとんど酔っていなかった。
酔ってはいけないと心のどこかで思っているのかもしれなかった。
しかし、飲まずに聞けそうもない。
再び酔いを取り戻すように一気に半分程、グラスを開けた。
その瞬間、間もなくここに真由美が来ることを思い出した。
さっきまでは、聞かれてもいいという覚悟ができていたが、
話の内容によっては今後のつきあいに影響するかもしれないなと思った。
川口は、独立を画策していた。その時、真由美も連れていこうと考えていた。
準備はもうすぐ整う。来月にも会社に報告する予定でいる。
川口の会社は、大口の仕事の多くは、川口の名前で受注している。
だから、川口の退職を、会社は素直に認めるとは思えず、
場合によっては裏から手を回されて干される可能性もある。
まして会社にとっても優秀なアシスタントも一緒に連れていくとなると、
認めてくれる可能性は低い。
その場合は、強引にでも辞めるつもりでいた。
だから、何か調査が入った時、今回の件は表沙汰にしたくない。
真由美にも何か聞かれることもあるだろう。
そんな時を考えても、真由美にはできるだけ詳しいことは分からないようにしておきたかった。
「もうすぐ、うちのスタッフが来る」
「さっきの電話の小橋さんだね」
「彼女が来る前に、一番大事なことを今話してくれ」
「お前、なにやったんだ?」
いきなり本題を突きつけるような強い口調でいった川口を、なぜか優しい感じの目で見つめ、
和幸は静かに言った。

「人を殺したんだ」

一番聞きたくない答えだった。
「でも、正確にいうと、死んでしまった、という方が正しいかな。傷害致死ってやつだよ」
この瞬間、川口は、独立のこと、真由美のこと、会社の上司の顔など…、
自分に関わることばかりが脳裏を駆けめぐった。
「殺したのは…」
いいかけた瞬間、店のドアが空いた。
真由美が、川口の部屋から持ちだしてきた
ノートパソコンが入ってるはずの手提げ袋をぎゅっとにぎり、
不安そうな顔で、川口と和幸を見つめていた。

(つづく)
 
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